石井は見た!ニューレミゼラブルの真実F
2006.11.03 POSTED2003年の時に「命を捨ててマリウスを守り弾を取りに行こうとするヴァルジャンを、敬意を持って行かせてくれ」という演出を、ジョンがアンジョルラスにつけた。マリウス時代にそんな空気でその場にいたことがなかったので、もの凄く驚いたことを今も覚えている。しかしこの演出こそがジョンの言いたいことなのかもしれないと、今回のニュー・レミゼラブルを見てついに感じ取った。
アンジョルラスの革命に対する情熱と信念は、日本人が思っている美意識や理想より頑なで鮮烈で現実的なのだ。ヴァルジャンが逃がさなかったら間違いなくアンジョルラスはジャヴェールを処刑していたからな。革命の重さそして命の儚さを、ジョンは美しい夢物語にしたくないのだ。現実の醜さと狂気を観客に投げつけたかったのだ。ガブローシュの即死にしてもそうだ。命の灯火が神に吹き消される瞬間は、時に音もなく前ぶれもなくやってくる。ジョンのリアリズムの追求は、残酷なほど生々しい。

